株式指標シリーズ第6弾です。
これまで下記の指標について解説してきました。
PER、PBR、ROA、ROE、ROIC
今回は、基本的な指標であるCAGR(年平均成長率)について解説したいと思います。
CAGR(年平均成長率)の計算式をシンプルに解説!【エクセルの式もレクチャー】
それでは早速学んでいきましょう。
この指標はファンダメンタルズ分析に欠かせない指標です。
考え方は至ってシンプルですので、ぜひマスターしましょう。
数年間分の対前年成長率の平均がCAGR【計算式有り】
CAGR(年平均成長率)とは、Compound Annual Growth Rateの略で
企業が過去にどのくらいのペースで成長してきたのかを示す指標です。
計算方法は下記のとおりです。

※エクセルの場合は
CAGR = ( N年目の売上 / 1年目の売上 ) ^ ( 1/(N-1) ) -1
この式だけ見るとちょっと分かりにくいですね。
まずはCAGRの考え方から理解しましょう
例題
あなたは上場企業A社に投資を考えています。
A社は昨年度から大きく成長をしており、あなたは今後の成長の目安を知りたいと思っています。
A社の過去5年間の売上高は下記の通りです。

A社の実績をグラフにすると下記のようになります。

概ね右肩上がりのようではありますが、売上高が減少する年もあれば、大きく伸びるときもありデコボコしています。
6年目以降の成長の目安を知るには、このデコボコを無くすと良さそうですよね。
そこでCAGRの出番です

CAGRを求めれば、デコボコを無くして、なだらかな売上高の推移をイメージ出来るようになります。
CAGRの求め方は下記の通りでした。
CAGR = ( N年目の売上 / 1年目の売上 ) ^ ( 1/(N-1) ) -1
この式にA社の売上高を当てはめると・・
CAGR = (5年目の売上 1700万円 / 1年目の売上 1000万円) ^ ( 1 / (5-1))-1
これをエクセルのセルに入れて計算すると、
= (1700/1000) ^ (1/5-1)-1 = 14.2%
A社のCAGRは14.2%となることが計算できました。
試しに対前年成長率14.2%で5年間の計算をすると、下記のようになります。

2-4年目は、実績と違う数値となっていますが、5年目は実績とぴったり一致しました。
グラフにすると下記のようになります。

なだらかな右肩上がりになりましたね
これなら6年目以降の売上高の成長もおおよそ目安がつきそうです。
このようにCAGRは、成長のデコボコを無くして、なだらかな成長をイメージしやすくする指標です。
CAGR(年平均成長率)の計算式の内容
CAGRの考え方は理解できました。
しかし、なぜあの複雑な式になるのでしょうか?
少し数式を使って整理してみましょう。
A社の1年目の売上高をSとすると、2年目以降の売上高は下記の式で計算されますね。
1年目の売上高 = S
2年目の売上高 = S × (100%+14.2%)
3年目の売上高 = S × (100%+14.2%) × (100%+14.2%)
4年目の売上高 = S × (100%+14.2%) × (100%+14.2%) × (100%+14.2%)
5年目の売上高 = S × (100%+14.2%) × (100%+14.2%) × (100%+14.2%) × (100%+14.2%)
上記より、
N年目の売上高 = S × (100%+14.2%) ^ N-1 ・・・N-1乗
で算出できます。
この式を、CAGRの14.2%について解くと・・・
N年目の売上高 = S × (100%+14.2%) ^ N-1
両辺をSで割る。
→N年目の売上高 / S = (100%+14.2%) ^ N-1
両辺を(1/N-1)乗する。
→(N年目の売上高 / S ) ^( 1/N-1 )= (100%+14.2%) ^ (N-1×(1/N-1))
→(N年目の売上高 / S ) ^( 1/N-1 )= (100%+14.2%) ^ 1
→(N年目の売上高 / S ) ^( 1/N-1 )= (100%+14.2%)
両辺から1を引く
→(N年目の売上高 / S ) ^( 1/N-1 )-1 = 14.2%
14.2% = CAGR
1年目の売上高 = S
なので・・・・
CAGR = (N年目の売上高 / 1年目の売上高 ) ^( 1/N-1 )-1
となります。
ちょっと一見すると複雑な式ですが、考え方としては難しくないことが分かるかと思います。
CAGR(年平均成長率)の注意点。計算式は最初と最後しか見ない
CAGRは、過去の成長ペースを示す目安となる大変シンプルな指標ですが、取扱いには注意点があります。
CAGRは、はじめの年度とおわりの年度の中間のデコボコを全く無視してしまうので、この指標を使って売上高が不安定な企業の成長目安にすると、大きく外れてしまう可能性が高いことです。
過去年間売上高のデコボコが大きい企業には、この指標は使用しないように注意して下さい。
またCAGRは、あくまでも過去数年間の業績から未来を想像する目安にすぎません。
この指標を過信せずに、企業が置かれている環境や業界全体の動向をしっかりと調査・分析しましょう!
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