資産運用

ROICとは。計算式とROICの意味を分かりやすく解説!

 

Drオレンジ
Drオレンジ
こんにちは。Drオレンジです!



株式指標シリーズ第5弾です。
(過去記事PER、PBR、ROA、ROE)

今回は少し上級編の、ROICについて解説していきます!

1.ROICを理解する

ROIC(Return On Invested Capital)は、日本語にすると投下資本利益率と言われ、今後さらに注目度が高まることが期待される指標です。
しっかりとマスターし積極的に実践投入していきましょう

1-1.ROICは投資に対する効率を示す指標【計算式有り】

ROICの計算式は下記の通りです。単位は%になります。

ROICの計算式



ROICは、投下した資本から、本業でどれだけ利益を生み、資本を回収できたかを図る指標です。
まずは指標の意味を理解しましょう。

例えば・・・

A社は1,000万円を元手(=株主資本)に銀行から1,000万円借入して、本業で200万円稼ぎました。
さらにA社は長年使っていなかった土地を売却して1,000万円の利益を得ました。


B社は1,000万円を元手に、銀行から5,000万円借入して本業で1,200万円を稼ぎました。


そして今、両社とも更に100万円の元手を必要としています。
では、どちらの会社に投資した方が儲かると思いますか?

さぁ皆さんはどちらを選びますか?

パッと見ただけでは選ぶのが難しいかもしれませんね。

そんなときROICを使えば明確な答えを出してくれます。

A社: 営業利益200万円 ÷ ( 自己資本 1,000万円 + 他人資本 1,000万円) =  ROIC 10%

B社: 営業利益1,200万円 ÷ ( 自己資本 1,000万円 + 他人資本 5,000万円) = ROIC 20%

以上より、B社のほうが収益性が高いことが分かります。
A社は借入金がB社より少なく、同じ金額の利益を稼いでいますので一見優秀に見えるかもしれません。
しかしROICは本業で稼ぐ力を重視するので、土地の売却等の一時的な利益は会社の実力と見なさず、除外して考えています。

基本的な考え方は以上になりますが、ROICの式に使われているNOPLATと投下資本にはそれぞれ特徴がありますので、下記で説明します。


「NOPLAT(みなし税引後営業利益)」とは、税金を差し引いた後の営業利益のことです。
通常PLに載ってる営業利益は、税引前の値になるため、NOPLATの値を求めて使用します。

NOPLATを求める際に注意すべき点は、営業利益から差し引く税金はPLに記載されている「法人税等」の値とは違うということです。

PLに載っている法人税は「税引前当期純利益」を基準として計算されています。

しかし、ここで求めたい値は、営業利益を基準として計算された仮の税額です。
そのため先述の通り

営業利益 × (1-実効税率)

という式を用います。

営業利益に、税金で支払う値が含まれていると、実際に企業が回収できる金額より大きくなってしまいます。

そのためNOPLATを計算して、仮の税金を算出。営業利益から除いてやるのです。


ROIC計算式分母の「投下資本」とは、企業が事業を行う際に使用した資本全てを指します。
自己資本(企業自身の資本=純資産)だけでなく、資本有利子負債(他人から借りてきた資本)も含めた値を使用します。

1-2.ROICの計算式は2つの指標の組み合わせ

ROAやROEと同様に、ROICも2つの指標に分解することが出来ます。

ROIC分解



ROAを分解した場合と考え方が類似しています。

売上高利益率は、その名の通り利益率(=利益を残す力)を示しており
投下資本回転率は、効率性(=資本を効率よく使って稼ぐ力)を示しています。


ROICのすごいところは、ここからです。
分解した2つの指標(売上高利益率 ・ 投下資本回転率)は、各々を改善する指標がいくつもあるのです。

さらに、それらの指標を分解・細分化して、現場レベルまで落とし込むことが出来るのです。

これをROIC逆ツリーと呼びます。
ROIC逆ツリーは決まったのものではなく、業態や商品・サービス等により各企業ごとに独自で作ることが出来ます。

言葉だけではちょっとイメージしにくいかもしれませんので、具体例としてROICを経営指標として重視しているオムロン(6645)のROIC逆ツリーを下記に掲載します。
※ROS(Rate of Sales) = 売上高利益率

オムロンROIC逆ツリー

(OMRON HPより引用)


このように、ROIC逆ツリーを作成することで、企業は現場レベルからROIC改善へ向けて経営を行うことが出来ます。

1-3.ROICを使用するメリット【ROEとの違い】

ROEとの相違点として、ROICは大きなメリットがあります。

ROEの場合は、他人資本(借入金等)を増やすことで、ROEを意図的に大きくすることができます。
(=悪いROE)

しかし、ROICの場合は、他人資本を増やしても分母が増えるだけですので、数値は減少します。

ROICはごまかしの効かない指標なのです。

2.ROICを使ってみよう

では早速ROICを使ってみましょう!

ROICを自分で計算してもよいのですが、既に計算されていてスクリーニングできるサイトがあります。
有名なサイトですが、知らない方のために念のためご紹介します。

バフェットコード
※無料で使えますのでご安心下さい。

それではバフェットコードにて、ROIC30%以上でスクリーニングしてみましょう。
9件ヒットしました。(2018年12月23日現在)

ROIC30%以上

2-1.ROICが高い理由を探る

それでは、2社を比較してそれぞれROICが高い理由を探ってみましょう。
下表は、ガンホー(3765)と、GameWith(6552)を比較した表です

ROIC比較



売上規模はガンホーが圧倒していますが、GameWithは営業利益率が43.7%とかなり高い数値です。

では、GameWithの投下資本回転率はどうでしょうか。

売上高 2,677 ÷ ( 純資産2544 + 有利子負債0 ) = 1.05

高い数値とは言えませんね。
以上より、GameWithのROICが高い理由は、圧倒的な利益率の高さにあるようです。
この次のステップとして、なぜ営業利益率が高いのかを探ることになります。
GameWithのPLを過去数年分見て、同業他社と比較しながら分析してみて下さい。

永続性のある利益率なのか、それとも一過性のものなのか。
今後もこの利益率(すなわち高ROIC)を維持できそうなのか。
そういった観点から分析することでより深く企業を知ることが出来ます。


一方、ガンホーの投下資本回転率は下記のとおりです。

売上高 92,306 ÷ ( 純資産62,412 + 有利子負債 336 ) = 1.47

ずば抜けて良い数値ではありませんが、少なくともGameWithよりは効率よく資本を利用して売上高を稼いでいるようです。
ガンホーはそこそこの投下資本回転率と、高い利益率が高ROICを生み出しているようですね。
こちらも、利益率が高い要因を同業他社と比較しながら分析を進めることになります。


ROICの解説と簡単な使い方の紹介は以上です。
ROICを使うことで、企業がどのような経営方針をとっているか数値の上から分析する足がかりとなります。

ROEの悪いところを改善し、経営指標として現場レベルまで落とし込める使い勝手の良い指標ですので、
今後今より更に注目されることが考えられます。
ぜひ今のうちから積極的に使っていきましょう


この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです

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