資産運用

【増えないパイを争う】配当再投資は矛盾した投資法です【図説】

こんにちはDrオレンジ(@Dr_orange_bita)です

高配当株投資って人気ですよね。そして配当金を再投資して複利のチカラでお金を増やす!ってよく言いますよね。

しかし、今回はタイトルの通り「そもそも配当再投資は矛盾してる」というお話しをしていきたいと思います。

この仕組みを知った上で配当株へ投資するのか、知らずにするのかで投資スタイルの意義が大きく変わってくる重要なことです。ぜひ最後までお付き合い下さい。

税金を引かれるか引かれないか

超当たり前のことを言いますが、配当金の原資は利益です。企業が事業を行って利益を稼ぎ、その中から配当金を株主に還元します。

Drオレンジ
Drオレンジ
今年は1億円利益出たので5000万円配当金出します。って具合ですね。

じゃあ配当にならなかった残りの5000万円はどうなるんでしょうか?社長のポケットマネー?社員のボーナス?そんなワケありませんよね。配当にださなかった利益は翌年以降の事業活動の原資になります。

つまり、稼いだ利益は翌期の事業に「再投資」していることと同義です。

ということはですよ、「配当金が多くもらえる企業に投資。もらった配当は再投資!」という投資法は意味がなく、むしろ税金が引かれる分損してることになりませんか?

以上をまとめるとこんな感じ。

これなら配当貰わない方いいですよね。配当金もらっておいて再投資することが、いかに矛盾した投資方法か分かるかと思います。

高配当企業に投資する意味とは

高配当株は株価(投資額)に対して配当金が高い会社のことを指していますよね。

株価≒企業価値とすれば、高配当株投資=企業価値に対して高い配当を出す企業への投資となります。

そして企業価値は、企業が今まで稼いで(配当にせず)再投資してきた利益が関係しています。

Drオレンジ
Drオレンジ
利益剰余金を代表とする純資産ですね。
その意味で高配当銘柄は、過去たくさん配当出してたから株価上がってない企業と捉えることができ、ここだけ見ればむしろ投資妙味に欠ける銘柄と言えます。

じゃあそんな企業に再投資をするということは何を意味するんでしょうか。ズバリ、増えないパイを争う行為です。

増えないパイを争う行為

どういう意味か解説しますね。

まず、企業価値は企業の純資産が元であり、純資産は配当にしなかった利益によってのみ(株主にとって健全に)増やすことができます。なので、ここではシンプルに

  • 配当金=株主への還元
  • 残り=企業価値の向上

として考えることとします。

配当金を出さない企業は、企業価値がどんどん上がります。

一方、高配当株は、成熟した企業であり、これからの成長はあまり期待できないパターンが多いです。そのため配当金で株主還元するワケですね。

そしてもらった配当金を再投資するということは、下記のようになります。

ところで、再投資つまり市場で株式を買付けるという行為は、他の株主から株式を譲り受けることですよね。つまり企業価値全体の中で自分の持ち分を増やすことを意味します。

これが「増えないパイを争う」の意味です。

例えるなら、どんどん大きくなっていくアップルパイを一切れ大事に持っていることと、持ってても大きくならないアップルパイをヒトからお金で買い集める。その違いといえます。

なぜ高配当銘柄になったのか

そもそもなぜ高配当銘柄は、高配当銘柄になったのでしょうか。

初めから高配当だった企業はないハズ。小さい会社から立ち上げ、成長し続けたころはあまり配当を出さず事業に再投資していたのです。なぜならビジネスチャンスが目の前にあり、配当を出さずに本業に再投資した方が儲かるからです。

それが今は利益を株主へ還元している。つまりそれってこれ以上本業が成長する見込みがないから(そう経営陣や株主が判断してるから)ですよね。

本業が成長するなら、配当金を出さずに事業に再投資した方が儲かる。なのにそれをしないってのはこういうことです。高配当銘柄に成熟した企業が多いのも自然なことなのです。

企業価値が高まらず事業が成長しない企業に対して(税金を払いながら)自分の持ち分を増やす。これが配当再投資の本質的な意味です。

配当再投資は複利を活かしている?

配当再投資でよく語られるのが「複利のチカラを使って~」という文言。しかし、正しい株式投資をしていれば配当再投資じゃなくても複利効果があります。先ほどの配当を出さない企業の図をもう一度見てみましょう。

これが複利だと理解するにはROEを用いると分かりやすいですね。

Drオレンジ
Drオレンジ
ROEについて大昔に書いた記事を載せておきます。

ROEの計算式と意味を分かりやすく解説!ROEを使いこなそう! PER、PBR、ROAに続いて今回はROEを解説していきますROEは投資銘柄を選ぶ際に大変注目されている指標です。上場企業の中には、...

例えばROE8%の企業が、今年100万利益を出した時

事業へ再投資!企業価値が100万円UP→翌期の純利益が8万円UP→再投資!企業価値が108万円UP→翌々期の純利益がさらに8.64万円UP→以降繰り返し…

となるワケです。つまり投資先企業の中で複利効果がはたらき価値が増大していることがお分かり頂けると思います。この複利効果は投資家から見ると含み益というかたちで表されますね。

よって配当再投資と配当を出さない企業への投資は、複利効果が生まれる場所が「投資家の手元」か「企業の中」かの違いだけ。どちらも複利で価値が増大しています。

配当再投資は地に足の着いた投資法

さてここまでお読みいただいて「は?配当再投資意味ない!やっぱグロース株に乗り換える!」と思った方はちょっとお待ちください。

私は配当再投資は本質的に矛盾していると言ってますが、劣った投資法だとは言っていません。

投資上級者の中には、上記の説明など当然分かった上で、それでも高配当銘柄を中心とした配当再投資を実行している投資家が数多くいます。

それは事業には不確実なことが多く、市場には不合理なことが多いので理論通りに事が進まないからです。不確定要素を「配当」というかたちで定期的に確定させて「株数」というかたちで価値の増大を図る配当再投資は、正しく行えば地に足の着いた有効な投資法です。

Drオレンジ
Drオレンジ
Show me the money!ですね
配当再投資の本質的な意味を良く理解した上で、ご自分の投資スタイルを見直すことをオススメします。ちなみに配当再投資の有効性を学ぶには、コチラの記事が大変参考になります。

まとめ

今回は「配当再投資は矛盾した投資法」であることを図を使って説明しました。配当再投資の本質的な意味と有効性をしっかりと知った上でご自分の投資にぜひお役立てください。

今回は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。

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