こんにちはDrオレンジ(@Dr_orange_bita)です。
今回は個別株投資におけるタコ足配当について、お話ししていきたいと思います。私はどんな投資方法も基本的には否定しませんが、これは正直良くない投資だと思います。
タコ足配当(分配)とは
まず、タコ足配当(分配)と聞いてまっさきに思い浮かぶのは、毎月分配型のファンドではないでしょうか。
毎月一定額の分配金を約束するタイプの毎月分配型ファンドは、運用益に関わらず配当金を出さなくてはなりません。
儲けた運用益だけで約束した分配金を払えない場合、ファンドの純資産を切り崩して配当金を出します。
実際に2015年ごろから金融庁により「顧客本位でない商品」として販売方法について指導が入っています。
個別株投資におけるタコ足配当とは
前段はファンド、投資信託の話でした。ではタイトルにある「個別株投資におけるタコ足配当」とはどんなことを指すのでしょうか。
それはズバリ、配当性向100%以上の配当金を出す企業のことです。
なんとなくわかったような・・・という方も多いと思いますが、明確に理解するために図説していきます。
株式買付時
株式を買付する時、株価は企業の価値をベースにして市場評価が入ることで構成されます。
例えばPL的な視点で行けば企業の価値をEPS、市場評価をPERとして
株価=EPS×PER
で示されますね。視点をBSに移せば
株価=BPS×PBR
と示すことができます。


さて、今株価2000円、BPS1000円の銘柄があったとします。この銘柄に投資をするということは、純資産1000円とPBR2倍(市場評価)を購入したことと同義です。
続けます。
配当性向100%超えて配当
配当性向が100%を超えて配当金を出すというのは、つまり前年稼いだ利益以上に配当を出すことを意味しますね。じゃあ配当金の原資はどこからくるのでしょうか?
前回書いた記事で、配当せずに残った利益は純資産(利益剰余金)に行くと説明しました。

配当性向100%超えではこれが逆流します。つまり純資産を取り崩して配当金を出すということ。これが「個別株投資のタコ足配当」です。
配当性向100%以上の配当をもらって投資家は大満足した様子。続きを見ていきましょう。
配当後の株価
さて、配当をもらった後の株価はどうなるでしょうか。配当性向100%超によって、株価を構成していた純資産が減ってしまいました。仮にBPSが100円へって900円になった時、PBRは2倍から変わらないとすれば
900円×2=1800
株価は200円下がります。
失った企業価値に”市場評価を乗じて”大幅に株価が下がるのです。しかし投資家は口をそろえて言います。
含み損は気にしません。
lose-loseのクソオクトパス投資
この投資のなにが悪いのか、なぜ”クソオクトパス投資”なのか。それぞれの立場から見て整理しましょう。
まとめると・・
- 投資家は資産を本質的に失う
- 企業は価値を失い衰退
- 利害関係者は苦しくなる
つまり、投資家の間違った要求によりみんなが不幸になる最悪のクソ投資だということがお分かり頂けたかと思います。
税金面でも不利
さて最後に税制面についても言及しておきましょう。ぼったくりファンドと揶揄される定額の毎月分配型投信などは、タコ足分配をすると「特別分配金」に区分されて非課税になります。
引用:三井住友銀行
投資家から預かったお金を払い出してるだけだから税金は免除されるワケです。投資信託の仕組み上、預かったお金と現在の基準価額の内訳が明確になるためこのようなことができます。
しかし、個別株の場合は配当金にかかる税金は一律20.315%。純資産(利益剰余金)の払い出しによるタコ足配当にも税制面で配慮がありません。
引用:みずほ証券
※純資産の資本剰余金の払い出しにかかる税金は株式の一部譲渡とみなされます。
クソオクトパス投資は税制面でもぼったくりファンドより不利な投資であると言えるでしょう。
まとめ
今回は「個別株投資のタコ足配当」についてお話ししてきました。投資家の要求がキツく株価維持のためムリして配当を出す。(結局、理論上株価下がりますが。)そんな株主と企業の関係は正直最悪であり、関わらない方が得策だと思います。
もしご自分の保有銘柄で配当性向100%以上のモノがあったら、もう一度企業の財務状況と過去の推移、そして株主との関係をよく見極める必要があるでしょう。
今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
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