今回は前回のPERに続き、代表的なバリュエーション指標であるPBRについて学びたいと思います。
1.PBRを理解する
それでは早速解説していきます。
PBRもPER同様に、ファンダメンタルズ分析をする際には欠かせない基本的な指標となりますので、しっかりと理解して実践で使えるようにしましょう。
1-1.PBRの前にBPSを理解しよう!
まずは、PBRの解説の前にBPSを理解する必要があります。
BPS(一株当たり純資産)とは、企業の純資産を株数で割ったものです。

純資産1億円の企業が、1,000株の株式を発行しています。
Aさんは400株、Bさんは600株をそれぞれ保有しています。
純資産は、会社のオカネでしたね。
会社のオカネですから、純資産は会社の所有者である株主のものです。
Aさんは1000株中、400株保有していますので、会社の40%を保有していることになります。
ですから、純資産の40%はAさんのものと言えます。
1億円のうちの40%すなわち、4,000万円がAさんの保有する純資産です。
Bさんは600株なので6,000万円ですね。
しかし、現実の上場企業の株主は何百人、何千人といます。
そのため1人の株主が企業の何%を所有していて、どのくらいの純資産を保有しているか計算するのは少し複雑になります。
そのため、1株でどのくらいの純資産を保有しているかを示しておけば、1人の株主の保有する純資産は簡単に計算できます。
これがBPS(一株当たり純資産)です。
BPS = 純資産 ÷ 発行済株式数
上図の場合はBPS=10万円になります。
純資産は株主のものであり、その取り分を1株あたりで計算したものがBPSなのです。
1-2.BPSと現在の株価を比較するのがPBR
BPSを理解できれば、PBRは簡単です。
PBRは、BPSと株価を比べて、どのくらいの値段がついているかを表したものです。

例えば、上記の企業が1株15万円だった場合
株価 15万円 ÷ BPS 10万円 = PBR 1.5(倍)
たったこれだけです。
PBR = 株価 ÷ BPS
1-3.BPS=解散価値
企業が事業をやめて、所有しているすべての資産を売却して現金にし、借金を全て返す。
そして残ったオカネを株主に配分する。
この際、1株保有につき、もらえる金額が解散価値です。
でもこの解散価値って、BPSと同じ金額になるはずですよね?
理論上はBPS=解散価値です。
しかし、貸借対照表(B/S)に記載されている数値から計算するBPSと、実際に企業が解散した場合の解散価値には差があります。
というのも、BSに載っている資産の金額はあくまで帳簿上の取得原価(買ったときの値段)であり、減価償却や減損により価値の調整はされていても、実際に売却する値段とは乖離があるからです。
具体例を挙げてみましょう。
20年前に2,000万円で買った土地を、現在もBSに「土地 2,000万円」で計上しているとします。
しかし、実際に売却しようとすると、田舎の土地のため2000万円では買い手が現れません。
仕方がないので1,000万円で売却をしました。
そうすると、BSに記載していた「土地 2,000万円」は、本来1,000万円の価値しかなかったということになります。
借金の金額はBSに記載している金額と差がありませんから、借金を返済し終わった後に残るオカネが1,000万円少なくなってしまいます。
そのためBPSと解散価値には差が生じるのです。

1-4.PBR1倍以下は割安?
インターネットや雑誌等でPBR1倍以下は割安の目安であるとよく言われています。
PBR1倍とは
PBR = BPS = 解散価値
この式が成り立つ状態であるため、株を購入するお金と、事業を解散して残ったお金の取り分が同じ金額になります。
PBR1倍以下であれば、解散した金額の方が大きくなります。
そのため株を買ってすぐ会社を解散すれば、利益が出るということになります。
しかしあくまで理論上の話であり、実際に株を購入し即解散ということは出来ません。
また、別な観点から見ると、PBRが1倍以下ということは株式市場の参加者が
「こんな企業は存続する価値がないから早く解散してくれ。」
と言っているようなものであり、相当に低い評価をされています。
実際には、まともな企業であれば一時的にPBR1倍を切っても、株価が回復してPBR1倍以上になる傾向があります。
長期間に渡りPBR1倍以下となっている企業の株は、市場参加者から魅力がないと判断されており投資しても利益が出ることは難しいと言えるでしょう。
今回はPBRについて解説しました。
指標の意味を良く理解して上手に利用しましょう
この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです
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