資産運用

EVAとは。計算方法や考え方を分かりやすく解説!コレで脱初心者!

 

Drオレンジ
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こんにちは。Drオレンジです!


今回はEVAという指標について解説していきます。

1.EVAの意味【計算式あり】

EVA(Economic Value Added)とは、日本語で経済的付加価値と訳されます。
企業が事業活動を行うことで、どれほどの付加価値を生み出したかを「金額」で表す指標になります。

EVAの計算式

EVA = NOPLAT  - 資本コスト

 
NOPLAT(みなし税引後営業利益)については、ROICを解説した時に学びましたね!


資本コストについても以前学びました。

しかし、過去に学んだWACCは、あくまで投下資本に対する「率」です。
EVA算出をする際にはこれを「金額」に修正してあげる必要ががあります。


具体的には

資本コスト = 投下資本 × WACC

という計算式を用いることで資本コストの金額を見積もることが可能です。

さてEVAの計算式ですが、理解しにくいかもしれませんので、具体例を用いて考えてみましょう

■例題

A社は、銀行から1000万円と、株主から1000万円の資金を調達して2000万円で新規事業を始めました。

そして、その事業から1年間で200万円の利益(NOPLAT)を上げることができました。

さて、この新規事業はどれほどの価値を生み出したといえるでしょう。

200万円の利益を上げたのですから、200万円の価値を生み出した!

といいたくなるかもしれません。

しかし、生み出した利益から、資本を出してくれた人への見返り(=資本コスト)を支払う必要があります。

先の例題では、資本コストがいくらになるか記述されていませんでしたね。

例えば、

銀行には年間2%の金利を支払い、株主は配当金を含め年間5%の利益を求めている

としたらどうでしょうか。

銀行の金利 1000万円 × 2% = 20万円

株主の利益 1000万円 × 5% = 50万円


これら資本コスト合計70万円を、先ほどの利益 200万円から差し引きます。

利益 200万円 - 資本コスト 70万円 = 付加価値 130万円


よって、この新規事業のEVAは130万円となります。

2.EVAの良いところ【EVAツリー】

EVAは経営者が用いる際に大きな利点があります。

それは、ROICの時と同様に、指標を分解して現場ベースの行動目標まで落とし込めることです。
これをEVAツリーといいます。

参考として、EVAを重要な経営目標としているピジョン(7956)のEVAツリーを掲載します。
※ピジョンは、EVAではなくPVAという呼び方をしていますが、中身は同じです。


PVAツリー

(ピジョン社HPより引用)


社員に対して、経営幹部が

経済的付加価値を上げるために頑張れ!!

と言ったところで、具体的にどうすればいいのか分かりませんよね。


EVAツリーを作ることで、各部の社員に対して、より具体的な指示・目標を与えることができます。

・不要に経費をかけすぎてはいないか

・余計な在庫はないか

・仕入れ先と交渉の余地はないか


全社員でEVAを高めるような経営が可能であり、達成することで企業価値がどんどん高まっていく。

EVAにはこのようなすばらしい長所があるのです。

3.EVAの悪いところ【SONY凋落の原因】

前項まではEVAの良いところをご紹介しました。
しかし、当然EVAにも悪いところがあります。

先述のとおり、EVAは


EVA = NOPLAT  - 資本コスト

資本コスト = 投下資本 × WACC


上記の計算式にて求められます。
式から分かるように、投下資本が大きくなると、その分EVAは下がってしまいます。

それが何を意味するのでしょうか。

1990年代の終わり頃、ソニーはEVAを役員報酬の評価基準に採用しました。
当時米国で生まれたばかりのこの指標を、いち早く自社に取り込み、企業価値の更なる向上を目指すためです。

しかし、役員はEVAが下がると自分の報酬が下がるため、薄型テレビへの投資を渋ります。

先行投資すべき案件を先延ばしにして、目先のEVA低下を嫌った結果、ライバル企業より商品開発が大幅に遅れてしまい、競争力を大きく落とす結果となってしまいます。



このように、EVAと短期的な思考を組み合わせると、大きく企業価値を損なう可能性があります。
そのため経営者は、EVAを導入する際には、自社にとってどのような形で取り入れるべきかをよく考えておく必要があります。


では、投資家の目線でEVAはどのように使えるでしょうか。


・企業はEVAを長期的に向上させる方針か。


・EVA以外の指標と組み合わせ、今後も事業が安定した成長をしていけるか


・高いEVAは一時的なものではないか。


といった視点を持ってこの指標を使用することで、将来安定的に企業価値を高めていく企業へ投資する手助けをしてくれます。


投資も事業も、長期的視点で考えることを忘れずにじっくりしっかりと取り組んでいきましょう


今回は以上です。
この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです

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